再会
20年来の友達が家に来た。
突然の来訪で驚いた。
仕事の都合でこっちに来ていたらしい。
一目見ただけで分かった。
面影が色濃く残ってる。
酒を呑み交わしながら近況の報告やら、懐かしい昔話で盛り上がった。
くだらない雑談をしている頃には既に外は暗くなっていた。
泊まっていけ、と言ったら。
折角だから、と泊まることになった。
布団を出して並んで寝ることにした。
うとうとと眠りに落ちていく間際、隣から何やらごそごそ音が聞こえ始めた。
何やってんだと思ったが無視して寝ることにした。
朝起きると、奴は居なくなっていた。
時計を見ると12時過ぎ。
どうやら寝すぎたようだ。
あいつは何処に行ったんだろう。
帰るなら一言あってもいいもんだが。
まあ起きなかったんだろうな。
隣の畳まれた布団を見る。
枕の上に何かある。
「今までありがとう」
しばらくの間放心する。
電話を掛ける。
直接は知らないから、あいつの実家だ。
もしもし?
久しぶりです。私です。
あいつの電話番号教えてもらっていいですか?
...え?
あいつは亡くなっていた。
それも5年前に。
5年もかけて感謝を伝えに来たのか。
なんだそれ。
なんだそれ。